リーンスタートアップにおけるピボットについて
この記事は,「【図解】『リーン・スタートアップ』のライフサイクル」 の続きです。
概要
- リーン・スタートアップ について,何も知らない人でも ざっくり理解 できるように解説してみました。
- 『リーン・スタートアップ』(エリック・リース 著)を読んで理解した内容をもとに書いていますが,誤解などがあればご指摘コメントください 🙇♂️
本記事では,リーンスタートアップにおける 「ピボット」 について紹介します。
ピボット(方向転換)
「構築」→「計測」→「学習」 のサイクルを繰り返すと,いつか成長が収束します。
ここで成長を止めないために ピボット(方向転換) を行います。ピボットでは,事業構造,ビジネスモデル,成長のエンジン など,これまでの事業がよりどころにしていた 根本的な仮説を再検討 します。
例)「顧客はコンパクトな二輪車を欲する」と思っていたが,顧客が本当に欲しいのは「手軽な移動手段」ではないか?
ピボットの種類
ピボットには,「何を変化させるか」という観点からいくつかの分類があります。この種類について,『リーン・スタートアップ』からいくつか紹介します。
ズームイン型ピボット
製品機能の一つと考えていたものを製品全体とするピボット。
例)政治系 SNS だった「ヴォティズン」というサービスでは,機能の一つとして「実際の政治家に提案する」ことができた。しかし,ユーザーは実際にはその機能以外に価値を見出していなかったので,「実際の政治家に提案する」ことを主軸としたシンプルなサービスに変化させた。
ズームアウト型ピボット
それまで製品全体だととらえていたものを,もっと大きな製品の一機能として捉え直すピボット。
顧客セグメント型ピボット
開発中の製品は確かに顧客の問題を解決するが,もともと計画していない顧客であるとわかった時に行われるピボット。
顧客ニーズ型ピボット
顧客をよくよく知ってみると,解決しようとしていたのが顧客にとって重要性が高くないとわかった時に行われるピボット。
例)「ポットベリーサンドイッチ」は,もともとアンティークショップで,来店客を増やす施策としてサンドイッチを提供していた。しかし,顧客は飲食サービス自体に価値を見出していたことがわかり,飲食チェーン店へと変化を遂げた。
プラットフォーム型ピボット
アプリケーションからプラットフォーム,プラットフォームからアプリケーションへの方向転換のこと。
例)LINE はもともとコミュニケーションツールだったが,ゲーム,証券,電子マネーなどのプラットフォーマーになった。
事業構造型ピボット
事業の構造を変えるピボット。ここでいう事業構造のタイプとは,「高利益率・少量の複合システムモデル」 と 「低利益率・大量操業モデル」 であり,このタイプを行き来することを言う。
価値捕捉型ピボット
価値の捉え方を変えることによるピボット。
成長エンジン型ピボット
スタートアップの成長エンジンを変えるピボット。『リーン・スタートアップ』では,事業を拡大させる成長エンジンとして,ウイルス型,粘着型,支出型 を挙げる。エンジンの型を切り替えることで,よりスピードアップや利益の増加が見込める時に行われる。
例)「広告」による拡販から,「口コミ」ベースで広まるような仕組みを作る。
チャネル型ピボット
同じ基本ソリューションを他のチャネルで提供したほうが効果が高いと判断した時に行うピボット。
例)複雑な販売プロセスを捨てて,エンドユーザーに「直販」する。
技術型ピボット
同じソリューションを全く異なる技術で実現できるとわかった時に行われるピボット。新しい技術のほうが価格や性能の面で優れている場合に行われる。